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■ボーダーを越えてゆく――年間ランキングと2021年総括

 

 2021年も大晦日となりました。今年の年間販売冊数ランキングをまとめつつ、今年を振り返ってみたく思います。

 

<年間販売冊数ランキング(2020年12月~2021年11月)>

・1位 インドの奥のヒマラヤへ ラダックを旅した十年間 山本高樹/産業編集センター

・2位 戦争とバスタオル 安田浩一・金井真紀/亜紀書房

・2位 目の見えない白鳥さんとアートを見にいく 川内有緒/集英社インターナショナル

・4位 冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ 山本高樹/雷鳥社

・5位 時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。 和田靜香/左右社

・6位 キャンドル 村上雅郁/フレーベル館

・7位 まとまらない言葉を生きる 荒井裕樹/柏書房

・8位 A DAY IN THE LIFE 井上雄樹編/要々舎

・9位 モノレールのたび みねおみつ/福音館書店

・10位 差別はたいてい悪意のない人がする キム・ジヘ/大月書店

・11位 改訂版 鎌倉&三浦半島 山から海へ30コース 樋口一郎/東京新聞出版局

・12位 人新世の「資本論」 (集英社新書) 斎藤幸平/集英社

・13位 料理と利他 土井善晴/ミシマ社

・14位 海をあげる 上間陽子/筑摩書房

・15位 私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE vol.1 安達茉莉子/本屋・生活綴方

・16位 河合隼雄 物語とたましい (STANDARD BOOKS) 河合隼雄/平凡社

・16位 ケルトを巡る旅 神話と伝説の地 (講談社+α文庫) 河合隼雄/講談社

・16位 ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方 (ちくま文庫) 伊藤 洋志/筑摩書房

・19位 ツバキ文具店の鎌倉案内 (幻冬舎文庫) ツバキ文具店/幻冬舎

・20位 世界は贈与でできている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学 近内悠太/NewsPicksパブリッシング

・20位 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2 ブレイディみかこ/新潮社

・次点 断片的なものの社会学 岸政彦/朝日出版社

・次点 学校では教えてくれない差別と排除の話 安田浩一/皓星社

・次点 りぼんちゃん  村上雅郁/フレーベル館 

(202012202111。販売冊数。同順位複数は同冊数のため。)

 

日販トーハンのランキングと比べると、同じ土俵に立っているとは思えない程、全然違うランキング。改めて見ると、我ながら当店らしさが出ていると思います。特徴としては、

・上位5位まで全てノンフィクション。展示やトークイベントを実施し、著者さんや出版社の協力を得られたことが大きい。

・テーマや内容が国内に留まらず、海外や異文化に関わっている本が多い。

・差別や排除されて来た、あるいは「見えないように」されて来た人たちに光を当てるような本が多い。

・今年の新刊ではない本が8点あり、必ずしも新しい本が売れるという訳ではない。

 

総じて言えば、当店ではいろんな意味での「ボーダー」を越えて行く本が売れた一年だと言えると思います。

 

2018年11月のオープンから3年が経ちました。3年目の今年は、経営的にはちょっとでも黒字にすることが目標でしたが、残念ながらどうやら今年も赤字で終えることになりそうです。

 

4年目の来年は勝負の年、続けていくためには、とにかく黒字化が必須となります。この2年間はコロナ禍でイベントが思うようにできませんでしたが、昨秋からオンラインイベントも実施するようになりました。コロナの状況を見つつも面白いと思ったら迷わず動き、リアル/オンライン問わず、この店ならではの面白いことを実施して行く考えです。

 

店主は50代半ばとなり、年相応な衰えを感じるのは否めませんが、好奇心だけは衰えてない自負はあります。ボーダーを越えていく本に店が負けぬよう、好奇心を武器に、来年はこの店もボーダーを越えていかなきゃ。ボーダーを越えた先に拡がっている、まだ見ぬ風景に出会いたいですから。

 

今年一年、ありがとうございました。

良い年をお迎えください。